封筒が運んでくれた私の勇気と気持ち

封筒に思いを綴ったラブレターを入れだけで、なぜか胸が熱くなるような、そんな思い出がふとよぎるのはきっと私だけではないでしょう。
ラブレターを書いたことがある人は、きっと世の中にはたくさんいて、私もそんな中の1人です。
私が初めてラブレターを書いたのは、中学1年生の時です。
元々引っ込み思案な性格で、初めて異性に芽生えた恋心に当初は戸惑い、それが恋心であることさえもよくわからないような状況でした。
世間一般的に考えると、年齢的に少し遅かったのかもしれませんが、自分にとってはそれが「初恋」でもありました。
初恋相手を見るたびにドキドキする気持ちを、戸惑いつつも楽しむ日々が続き、好きだと思える相手がいるだけで、学校生活が楽しくキラキラしたものに変わっていった感覚を思い出します。
最初はその姿を見ているだけでも満足していたのが、徐々に自分の気持ちを表現したいという、当時の私にしては大胆な気持ちにも変化していきました。
ですが、そこはやはり引っ込み思案な性格が邪魔し、思うように気持ちを伝えることができずにいたのです。
気持ちを伝えても、拒否される可能性を考えると怖くてできない。
でも、この気持ちを伝えてみたい。
そんな葛藤にいつも、心を悩まされるようになりました。
その時、私の心の葛藤を知った友人がアドバイスしてくれたのが、ラブレターを書くという手段です。
ラブレターなら、緊張することなく自分の気持ちを確実に伝えられる。
引っ込み思案な自分の性格を考えると、本当に勇気のある決断だったと思います。
そう思い、すぐに友人のアドバイスを受け入れ、手紙を書くことになりました。
そうと決まればすぐにでもラブレターを書きたくなり、さっそくその日のうちに友人と向かったのが、町内にある小さな雑貨屋さんです。
そこで大事なラブレターとなる、封筒と便箋を選びが始まりました。
もちろん大事なのは、手紙の中身だということはわかっていたのですが、どうしても便箋や封筒にもこだわらずにはいられませんでした。
封筒の印象が、私自身の印象に影響を与えるはずだと、妙な確信があったからです。
特に、ラブレターの顔ともなる封筒にはこだわらずにはいられませんでした。
通常は「レターセット」と言い、便箋と封筒がセットになって販売されているものがほとんどです。
便箋よりも、封筒のデザインに強くこだわりました。
友人とあれでもないこれでもないと、数時間狭い雑貨屋さんで討論しながら選んだことが、ついこの前のことのように思い出されます。
その日の夜、さっそく1人きりの部屋で、恋する相手のことを思い浮かべながら1通のラブレターをしたためました。
書き上げた後の、好きな人の名前が書かれた、凛とした封筒の姿が今でも忘れられません。
ベタな展開ですが、直接手渡しする勇気がないため、下駄箱に潜ませたうえ、相手が自分の手紙を手にする姿を、陰でひっそり見ていたことをしっかり覚えています。
自分が、心を込めて書いた大事な大事なラブレターを、好きな人が手にした瞬間の光景は脳裏に焼き付きました。
彼の手と封筒のセットが、まるで1つの切り取られた写真のように、今でも心の中にしっかり残されています。
残念なことに、結果は玉砕でした。
もちろん相手も中学生の男の子ですから、丁寧に手紙で返事をくれるなんてこともなく、想定内の音沙汰無しだったのです。
業を煮やした友人が、結果を本人に尋ねた結果、他に好きな人がいるというとても残念な言葉が発せられたそうです。
あえなく私の初恋はあっさり玉砕し、散ってしまったわけですが、何よりも初めて恋心を抱き、初めてラブレターを書いたという思い出がしっかり心の中に残りました。
人生の中で、印象に残っている手紙がたくさんあります。
このラブレターもそんな手紙の中の1つですが、印象に残っている手紙のことを思い出す時、最初に頭に浮かぶのは、何よりもその時使用した封筒の姿です。
印象に残っている手紙ほど、どんな封筒だったのか便箋だったのか、しっかり心に刻まれているものです。
手紙を書く機会が少なくなりつつありますが、この先手紙を書く機会があるならば、やはり封筒選びにもしっかりこだわって書きたいと思わずにはいられません。

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