シンプルな封筒がもたらした人生初のラブレター

シンプルな封筒に入った手紙を20歳過ぎに受け取りました。

これまで生きてきた人生の中で、私が受け取ったラブレターは、後にも先にもきっとこの1通だけでしょう。
見た目的にも性格的にも、お世辞にも「モテる」と言えない自分が、ラブレターを受け取る経験ができるとは、正直思ってもみませんでした。

子供の頃から引っ込み思案な性格で、もちろん異性と話す機会も少なく、恋心を抱くこともほとんどないような幼少期を過ごしました。
小学校に入学しても異性に興味を抱くことがなかった私が、ようやく1人の異性に恋心を抱いたのは、中学生になってからです。
勇気を出してラブレターをしたため、封筒に入れて渡してはみたものの、あえなく撃沈。
それでも、初めての恋心と封筒や便せん選び、そして初めてのラブレターと、いろいろな「初めて」の経験に、自分なりに満足していました。
その後は恋愛する機会もないまま、時間だけが過ぎていきました。
自分はもう恋愛する機会もないだろうなと思うほどだったため、そんな自分がラブレターをもらうなんて、夢にも思っていなかったのです。
時は過ぎて大学生になった時に、将来を左右するような、自分にとって大きな事件が起こることになります。
21歳にして、人生初のラブレターを受け取ったのです。
自分自身がラブレターを受け取るという経験ができるなんて、まったく想像していなかったため本当に驚きました。

ラブレターでもあるその封筒をぶっきらぼうに渡してきたのは、現在の主人です。
主人とは大学の同級生でした。
同じサークルに所属しているわけでもなく、同じクラスというわけでもなかったのですが、当時、共通の友人がいたため、私ともうっすらと接点があったのです。
本当にうっすらとした接点だったため、たまに交わした会話がどんなものだったのかも思い出せないほどの関係でした。
ある日、講義の終了後に、その共通の友人を挟んで同じ空間に居合わせた際、「これ。」と一言だけ言っていきなりぶっきらぼうに渡されたのが、1通の封筒だったのです。
その封筒は、とてもおしゃれとはいえるものではなく、何のデザインもない全くシンプルな封筒でした。
いきなり手渡された封筒の意味が分からず、「何の封筒?」と、無粋な質問をしてしまったことをよく覚えています。
当時の私にしてみれば、その封筒の中身が手紙であることすら、想像つかなかったのです。
いったい何が入っている封筒なんだろう。
と思ったのが、正直な気持ちでした。
そんな無粋な私の質問に、主人はまったく返事をせずに行ってしまい、封を切ってようやく中身の正体を知ることとなりました。
思いもよらない相手からのラブレターは、本当に衝撃を受けるものです。
そんなラブレターには、とても汚い字で「今度2人でどこかに行きましょう」という内容の文が書かれていました。
意外な相手から受け取ったラブレターに、茫然としつつ、その封筒をいつまでも眺めていたこともよく覚えています。
宛名も何も書かれていない封筒。
何のデザインもなく、真っ白でシンプルな封筒。
そんな封筒さえ、手紙をくれた主人の人柄を物語っているような気がし、彼のことを意識するようになっていきました。
そうやって始まった恋愛が現在に至りますが、あの封筒があったからこその現在なのだとも思います。
自分が初めてラブレターを書いた時に使った封筒も、初めてもらったラブレターの封筒もどちらも脳裏に焼き付き、忘れることはありません。
そう考えると封筒は、手紙やその人のことを印象付ける、とても重要な役割を担っているものなのかもしれません。

スマホやタブレットが急速に普及し、手紙を書くという機会が少なくなりました。
ですが時として手紙には、人生を左右しかねないほど大きな力があるものです。
そんな大事な手紙だからこそ、大きな役割を果たす封筒も、自分なりのこだわりを持って選びたいと、今改めて強く思います。

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